2026年02月15日

宗教法人課税の是非

インターネット上において、宗教法人課税の是非について議論があります。今回の件は、週刊誌記事に端を発したようですが、多くの方が課税したほうが良いと感じられているので、ここまで議論になっているのだと思います。以下、関係する事項を書き連ねてみます。


まず、宗教法人は非営利法人なので営利目的の法人ではありません。宗教法人の活動目的は、善福寺の謄本を見ますと、大まかに言いまして、@浄土真宗の教義を広める、A法要儀式を行う、B信者の教化育成を行う、C上記@−Bを達成するに必要な業務や事業を行う、D礼拝施設や財産を維持する、とあります。

つまり、これ以外の目的で行動してはならんのです。金儲けのために行動してはいけません。儲かる、つまり黒字化させる必要はありますが、それが目的になってはいけないのです。とは言いましても、実際のところ上記@−Dを拡大解釈することは可能ですし、明らかに逸脱している思考の宗教法人はあることでしょう。まあ、こういう輩はどの業界にもいるわけですが、同じ宗教家として非常に迷惑です。

そして、宗教法人の活動は「宗教活動」と「収益事業」に分けられまして、上記@−Dが「宗教活動」となりますが、Cには「宗教活動」を達成するために必要な「収益事業」も含まれます。「収益事業」は多岐にわたりますが、余剰境内における不動産業、幼稚園や保育園経営、物品販売事業など、こうした事業には法人税が課税されます。ただし、会社法人よりも優遇された税率となっています。「宗教活動」には法人税は課税されていません。「宗教活動」による収入とは、すなわちお布施です。お布施は非課税なのです。

税金に関して補足しますと、固定資産税は「宗教活動」で使用している部分は非課税ですが、「収益事業」で使用している部分は課税されます。一般的にはほとんど非課税でしょう。


なお、よく勘違いされるのですが、住職は宗教法人の代表役員で、役員報酬を宗教法人から得ています。役員報酬は会社法人と同じ位置づけなので、当然、同じように所得税が課税されます。普通に税金を納めているわけです。社会保険料も同じように加算されます。ここは一般と同じなのです。よく「坊主丸儲け」と揶揄されますが、残念ながら坊主は丸儲けではないのです。


宗教法人と言いましても、善福寺のような個人経営と言える小さな一般寺院から、本山や宗派のような一般寺院を包括する立場の大きな団体もあります。これは神社でも同じで、初詣でなどで全国的に名が知られている大きな神社もあれば、宮司さんひとりがいくつも兼務されているような地域の小さな神社もあり、それぞれが宗教法人格を持っています。また、新宗教になりますと、宗教法人格は1つということもあるかもしれませんが、全国的に支部を展開されているところもあります。

こうした宗教法人に対して一律に課税するというのは、かなり無茶な発想かと感じます。「収益事業」で黒字を出している宗教法人には一般的な税率で課税しても構わないとは思いますが、地道に「宗教活動」だけを行っている宗教法人に課税しますと、地域のお寺や神社が消滅するという事態もあり得ます。課税には工夫が必要です。たとえば、法人税に関して言えば、境内や本堂の維持には思った以上に経費がかかるので、法人税が課税されてもそれほど納税額は大きくはないかもしれません。しかし、固定資産税は厳しいかなと思います。境内や本堂があるだけで毎年納税となりますと、納税するために収入を今まで以上に上げないといけません。これは無理です。固定資産税によって消滅するお寺や神社はあるでしょう。


日本の現状を考えますと、宗教法人への課税が検討されることもやむなしとは思いますが、政府には宗教法人の実情をよくよく知ってもらいたいと思います。



最後に私見ですが、私はやはり政教分離の原則から宗教法人の税制を考えるべきかと思います。海外では宗教法人が政治活動をすれば、その税制優遇を停止するという国もあるそうです。政教分離なのですから、一切の政治活動をしない見返りとして税制優遇があるのは、多くの方の賛同を得られると思います。また、信教の自由という側面から考えましても、その宗教法人の教えを信じる思いでお布施をしたつもりが、そのお布施が納税の原資となってしまうようでは、信教の自由が守られているとは言い難くなります。政府の方針とは相容れない宗教法人もあるわけで、やはり政教分離の原則は徹底してもらいたいと思うのです。

とにかく政教分離です。


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posted by 伊東昌彦 at 11:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 仏教 住職恣意 -jyushokushii
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