2022年01月18日

学校は人間形成の場

私は地域のロータリークラブに加入しています。ロータリークラブは地域の経営者が集う、異業種間での奉仕と親睦の団体です。会社法人経営の方が多いですが、なかには私のような宗教法人経営や医療法人経営の方もいます。しかし経営を学ぶことが主目的ではなく、あくまでも地域や日本社会への奉仕、ひいては国際奉仕や世界平和がクラブの存在目的となります。言葉をかえれば、ロータリークラブ活動を通じて経営者としての倫理観を高め、職業を通じて人間教育を広めていく場とも言えます。

ロータリークラブには会員交流のために雑誌が発刊されています。この雑誌には全国各地のロータリークラブが紹介され、会員が誌面に登場することもあります。自分自身の職業の紹介であったり、様々な奉仕活動の報告であったり、ロータリークラブの会員として、他の会員の参考になる情報を提供しているわけです。

ある時、この雑誌に有名進学校の関係者の方が登場されました。ロータリークラブ会員とのことで、学校関係は会員としては珍しいので驚きつつ拝読しました。しかし、読み進めるうちに非常に残念な思いになったことです。学校での教育全般について話されていたのですが、力を入れられている部分がどうも東大合格者数のことなのです。ご自身が役職に就任されてから大きく飛躍したと。

たしかに近年は極めて多くの東大合格者を輩出している学校ですが、私が中学受験したときからも優秀な学校であったと記憶しています。なにもそこまで、しかもロータリークラブの雑誌で喧伝することなのか、非常に疑問を感じたことです。もっと教育者として人間形成をどのように考えているのか、社会へはばたく中高生をどのように育てているのか、そういう部分に力を入れて話をしてもらいたかった。たしかに東大合格者数が増えたことは結構なことですが、その価値観の掲揚こそが、今回の東大前での刺傷事件の一因になっているのではないでしょうか。

ロータリークラブは地域の高校と共同で奉仕活動をすることもあります。奉仕活動を通じて立派な社会人になってもらいたいと願うからです。東大合格者数を誇ることがロータリークラブの価値観では決してありません。そして学校というものは、勉強や学問を通じての人間形成の場であると私は信じています。

posted by 伊東昌彦 at 14:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 仏教 住職恣意 -jyushokushii
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